ラグビーワールドカップ準決勝プレビュー・情熱のチーム・アルゼンチンが 20年ぶりに「初の決勝進出」を掴めるか? | ラグビージャパン365

ラグビーワールドカップ準決勝プレビュー・情熱のチーム・アルゼンチンが 20年ぶりに「初の決勝進出」を掴めるか?

2015/10/24

文●大友信彦


いよいよラグビーワールドカップ2015も準決勝を迎える。現地取材をしているラグビージャパン365・スーパーバイザーである大友信彦氏が試合が行われるトゥイッケナムから準決勝プレビューを送る!

アルゼンチンラグビーの原動力とは?

ワールドカップはいよいよ準決勝。4強は南半球4カ国対抗「ザ・ラグビーチャンピオンシップ」の4カ国が独占した。連覇を目指すNZと2大会ぶりの優勝に挑む南ア、1999年以来4大会ぶりの優勝を目指すオーストラリアは、すべて2度ずつ優勝を飾っている優勝争いの常連だから、この「南強北弱」減少の主役はアルゼンチンということになる。実際、アルゼンチンは6カ国対抗2年連続優勝の「北半球王者」アイルランドを準々決勝で破っての4強入りだ。


アルゼンチンの強さは何だろう。


スクラムの強さは古くから言われている。ブエノスアイレスの名門クラブ、サンイシドロクラブ(略称SIC)のコーチだったビガジェス氏がスクラムの足の位置、バインドの組み方などをマニアックに追求したことがその源流だと言われる。また、サッカー王国であることから、ほとんどの選手が幼少時にサッカーも経験。キックスキルはポジションを問わず高い。FWは大きく、BKには小柄な選手が多いが動きは俊敏で、何より驚かされるのは胸板の厚さだ。真横から見ても身体の厚みが圧倒的なのだ。

プレースタイルで印象的なのは「全員が勝負していく」ところだろう。現代のラグビーは、日本代表が取り入れている「シェイプ」のように、集団でフェイズを重ねながら優位性を作ろうとする。だがアルゼンチンは、選手個々が、ボールを持ったらまず勝負するのだ。それはFW第1列の選手も、BKの走り屋たちも変わらない。

アルゼンチンのチームカラーを読み解くキーワードをひとつあげるなら「情熱」だろう。


準々決勝のアイルランド戦は、試合前の国歌吹奏時、ほぼ全選手が涙を流していた。試合が終わると、全選手が場内を一周した。2大会ぶりの準決勝進出を祝って一周したのか?と思いたくなるが、実はそうでもない。アルゼンチンは、どの試合でも試合後に場内を一周するのだ。記者が知る範囲では、2007年フランス大会で8強入りを決めたアイルランド戦以降、現場で見た試合ではすべて、試合終了後に場内を一周している。今回大会でいえば、ジョージア戦の行われたグロスターでもその場面を目撃した。プーマスの選手たちはそのたびに子どもたちを抱き、あるいは手をつないで場内を回る(だからワールドカップでプーマスを見る観戦者は、子どもたちの成長を4年ごとに確認できるのだ)。



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